2010年07月02日

海洋天堂

Ocean Heaven
監督 薛曉路
撮影 クリストファー・ドイル
出演 李連杰(リー・リンチェイ) 陳瑞 桂綸[金美]
2010年中国


今回香港で見た映画はどれもおもしろかった。
この映画については、「亀の甲羅をせおってる場面がある」「テーマソングはジェイ」ということしか知らなかっただけに、最もダークホース度高かった。
やっぱり事前には情報や印象をできるだけ入れない方が楽しめますね。

香港の話ではなく中国の話。
リンチェは、めがねをかけ、ちょっと眉間やほっぺたに皺のあるおとうさん。息子が自閉症で、妻もすでに亡くなっているので、その将来を案じている役。

全然アクション場面もなく、まじめで地味な役。
でも、どうにかしようといっしょうけんめい。
その様子を普通に描くだけなのだが、とにかく、りんちぇの演技力で見せる。彼のこと全然知らない人がみたら、普通に演技派の俳優さん、と思うだろう。
そんなにたくさん彼の映画を見ているわけではないのだけど、今まではわりといつも同じ顔な感じで、無口で無表情、の演技だったけど、、今度は、きわめて普通の人っぽく、日常的なことのつみかさねで演技している。地味。
となりに住んでる女の人が、なにかと気にかけてくれ、りんちぇ自身のことも好きだったりするのだが(りんちぇの方も)、そのふたりの交流も地味。女の人も、地味。
それでも、彼の演じる父親には、息子の将来を安定させるという大目的があり、そこにむかって行動しているから、ほかの人とは違うのだ。
息子のことを、施設の人やほかの人が気にかけてくれても、やっぱり、彼の世話はいつも一緒にいていつも気にしているりんちぇにはかなわない。でもいつか息子がひとりになってもいいように、教え、諭し、ほめ、彼がわかりやすいように真剣に工夫する。決してあきらめずにとりくむ姿に、まわりも打たれて協力し見守る。まわりの人が出すぎないのもいい。
心うたれる場面はあるけど、湿っぽくはなりすぎないし、悲壮な感じもなく、海や、つつましいりんちぇの家の中(かたづいてます。モノが少ない)や、職場である水族館や、魚のように自由に泳ぐ息子の映像が美しい。
・・・と思ったら撮影クリストファ・ドイルだった。というのは今これを書くのに調べてわかったこと。
へーえ。いい仕事していると思います。冒頭のシーンもとても美しい。
不安な要素込みの場面だけど、美しく、ひきこまれる。
そしてこういう映画だから、全体にやりすぎてないところも好。

りんちぇが、妻の話をするところがよかったなあ。
そのときには、たまたまめがねをかけてなくて、いつもの真っ黒な目のりんちぇい。ふつうに世間話をしているみたいに、妻はうけとめきれなかったんだと思う、と言い、それを責めるでもなく。自分はうけとめているわけだけど。

まあみんな日本公開してほしいわけだけど、これは李りんちぇいの今まで見たことのない顔なのじゃないかと思うので(よく考えたら『スピリット』も見てない私なので・・)、公開してほしいなあ。というか、これまで、彼の映画を公開してた国ではもれなくしてほしい。

ちなみに・・息子があれをいつもあそこに置くのは、最初にりんちぇがあれをあそこに置いたからでは?と思ったんだけど違ったかなあ。


(旺角ブロードウエイにて)
posted by ゆずきり at 08:44| Comment(9) | TrackBack(0) | @映画館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『海洋天堂』のレビューを書いてくださってありがとうございます。
中国サイトの記事は翻訳機にかけても意味不明なので
こうして日本語で読めるのはとっても嬉しいです。

亡くなった奥さんのことを語るシーンは想像するだけでうるうるしてきます。

実は私達ジェット・リーのファンは“ジェット・リーの『海洋天堂』を日本で観たい!”
という活動をしています。
現在ブログでキャストを順次紹介しているところなんですが
ゆずきりさんの文章を引用させていただいても構わないでしょうか。
奥さんの話をしていた相手はとなりに住んでいる女の人ですか?

初めましてなのに、不躾なお願いをして申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by しゅう at 2010年07月04日 11:13
しゅうさん、こんにちは。
私の文は本当に自分用第一の感想なんですがそれでよろしければ。
引用元を明記していただければ結構です。
そして、奥さんの話をする相手がだれだったのか、すでに忘れてしまいました・・・。
しゅうさんご自身はご覧になったのですか?
Posted by ゆずきり at 2010年07月04日 11:36
ゆずきりさん、快く許可していただいてありがとうございます!
さっそくブログでこの記事を紹介させていただきますね。

私は中国語も英語もダメなので(照)
日本語字幕付きじゃないと理解できません。
海外まで観に行く余裕もないので、日本で観たい!と活動しています。

記事の引用はキャストWくらいでさせていただきます。
その時はまた報告させていただきますね。
本当にありがとうございました☆
Posted by しゅう at 2010年07月04日 15:32
昨日の記事で引用させていただきました。
ありがとうございました☆
BBSに一言メッセージを書いてくださったことにも感謝です。

妻はうけとめきれなかったんだと思う・・このシーンを
日本の映画館でぜひぜひ観たいと思います。
Posted by しゅう at 2010年07月09日 12:48
お知らせありがとうございます。
BBSは、ちょっと使い方がわからなくて(「スレッドを上に上げる」にした方がよいかどうかわからなくて)ご迷惑かけてたらすみません。
現役の俳優さんに関しては、ちゃんと仕事を紹介し続けるべきだと思います。
日本公開できるといいですね。
Posted by ゆずきり at 2010年07月10日 07:40
ゆずきりさんの香港話をまた聞けてうれしいです!コメントは遅くなりましたが、いつも読み返しています。特に「海洋天堂」は、ぜひ観たいと思っている映画ですので、情報を聞けてうれしいです。テーマがデリケートな映画だけに、できばえが気になっていました。李連杰は、繊細な演技もできる希有なアクション俳優ですよね。最初に観たのがワンチャイだったので、その完璧なヒーローぶりが焼き付いていたんですけど、弱さを持った役でもひじょうに素晴らしいと思うようになりました。ゆずきりさんの香港レポートもあり、また香港に行きたいと思うようになりました。でも夏の香港は暑そうですね!
Posted by litlit at 2010年07月11日 10:19
りっりさん、いつもコメントありがとうございます。
私はほんとうに何の先入観もなく前知識もほとんどない状態で見たせいで、よけいにこの映画のリンチェイをかみしめることができたと思います。
ノーメイクみたいな感じで(あるいは、皺をわざと足したのかも)普通のおじさんとして登場させておいて、最後には、そのおじさんの思いに深く感銘して終わります。
香港は、日本とちがって、朝まだ暗いうちから暑いです・・ので、もしおでかけになる際は、どこかで休憩する時間を設けることをお勧めします。
そして、室内冷房対策用のはおりものは、薄手のウールくらいでちょうどいいです!
いけるといいですね。
Posted by ゆずきり at 2010年07月11日 11:32
ゆずきりさん、お邪魔いたします☆
『海洋天堂』を日本で観たい!活動をお手伝いしている天照と申します。
毎回お邪魔する担当者が違っていて失礼いたします(汗)

感想記事のご紹介と引用をOKして下さってありがとうございました☆
こちらのページでご紹介させていただきました。
http://oceanheaven.amaterasuan.com/review

「映像が美しい」ことについて書かれてある部分を
何行か抜粋して掲載させていただきました。
もし編集させて頂いた方が良かったり、何かありましたら
ぜひぜひお知らせくださいませ。
どうもありがとうございました☆(感謝)

息子の大福君があれをあそこに置くのは、
最初にりんちぇがあれをあそこに・・・おおお、気になります(照)

あれというのは、もしやあれではないか・・
いやしかしあんな大きなものをどこに置くのだろう?と
ひとりで想像して楽しんでます(笑)

日本以外の他の国でも多く公開されて欲しいと願っているのですが、
実際に映画をご覧になられたゆずきりさんも
そう感じられたとのこと。ますます観たくなりました♪
美しい映像と物語を、日本の映画館で観たいと思います☆

では長々と失礼いたしました!
感想記事を引用させて下さってありがとうございました。
またお邪魔させてくださいませ☆
Posted by 天照 at 2010年08月20日 04:59
天照さま

引用のお知らせありがとうございます。
拝見しましたがそのままで結構です。

>あれというのは、もしやあれではないか・・

こんなところに反応してくださってありがとうございます。
たしかにりんちぇは最初にあれをもらったときあそこに置いたと思うんですよね。
私の記憶違いかもしれないので、日本で公開されたら確認したいと思ってます。
でもこのエピソードなんかもごく小さなエピソードですが、最後までちゃんとオチがつけられていて感心しました。
新人監督の力作という意味でも良い映画だと思います。

運動の成果が出ますように。
Posted by ゆずきり at 2010年08月20日 08:20
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