2012年05月20日

裏切りのサーカス

一般公開される洋画(死語かな)の中で、楽しみにしていた一本。
原作の『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は、陰鬱な雰囲気ながら唸るおもしろさで、なんども読んだ・・・・話がよくわからなかったから、というのもあったけど。
とはいえ本を読んでからかなりたっていたので、話の筋は「二重スパイ探し」で、結果あきらかになった二重スパイ=『もぐら』が誰で、ということしかおぼえていなかった。
しかし映画を見始めたら、ジム・プリドーとあの子どもとか、いろいろすぐに思い出せて、原作を実写で反芻する感じでたのしめた。
とくに、ジム・プリドーとリッキー・ターの実存映像がよかったねえ。参謀じゃなくて、しがない現場担当だけど、だからこその命がけの誇り。本をよんでいていまひとつイメージできてなかった登場人物を、映画でみてなっとくする、というのは、越路吹雪さん@『ぼんち』もそうだったが、トム・ハーディー@リッキー・ターもそれだな。
スマイリーのゲイリー・オールドマンは、私のスマイリーイメージが、かなりのよぼよぼ爺さんなため、そのイメージからは精悍すぎる感じだけど、でもだからよくなかったことはまったくなく、やっぱりいちばんこわいのはスマイリーだね、と思えるのでこれはこれでよかった。コントロールのジョン・ハートも合っているけど、スマイリーの方がコントロールより上だね、映画では。

原作でおもしろいのは、ひとくせもふたくせもある登場人物たちの皮肉な物言いと秘密めいた行動、それらを結ぶ道筋が少しずつつけられていくところと、スマイリーのキャラクターだった。
そして原作で理解できなかったのは、諜報活動にものすごい勢いで血道をあげている彼ら全部の「忠誠心」のこと。それぞれの人物の「忠誠心」のありようは、行動やことばによって原作では説明されていたけど、とにかく、そういった「忠誠心」というものが、自分には縁遠いもので・・そして、日本は、こういった諜報活動で勝つことは決してないだろうなあ、ということも思ったものです。
あと、「ソ連」に対する異常な嫌悪感みたいのも、なんつーか、違和感(おもしろい違和感だけど)だったなあ。
小説と映画では、やっぱり、そういった「忠誠心」の不気味さ(不気味だというのは私が思ったことですが)、みたいなものの描き方は違って、というか、小説なら描けることが映画では無理だったり、その逆ということもあって、でも、どちらもそれぞれがすぐれたものであれば、倍+アルファ分たのしめるわけで、この映画は、そういうラッキーなケースだったと思う。

・・といいながら、ですが。
原作も知らないし、冷戦ていうものも知らない若い人なんかがみたら、これ、おもしろいのかなあ?
わりと地味目な話だと思う。

スマイリーとピーター・ギラムが仕事場として選ぶ、リヴァプール駅近くの光景のロケがとってもよかった。
鉄道線路の高架の向こうにドーム型の古い建物の屋根がみえるあの道。
室内の映像が、いつもタバコの煙がたちこめてるみたいに薄暗い感じなのも、この話のイメージにあっていた。


「裏切りのサーカス」公式サイト



こちら旧訳本。家のどこかにあるはず・・



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2012年04月30日

音樂人生KJ

神童ピアニストKJこと、黄家正のドキュメンタリー。
主に、11歳で賞をとりチェコスロバキアで録音したときと、17歳の現在(映画は2008年公開)の映像で構成されている。

まず、KJという人間がおもしろい。11歳の段階ですでに、キャラクターができている。大人にまじって、録音のときにも妥協せず遠慮なく指示をとばす。
17歳の現在は、学校のオーケストラの指導者として君臨している。同級生や兄に対しても容赦ない。でも、音楽に対する姿勢は、誰よりも前のめり。行動パターンとしては、ちょっとハイパーはいってるかも。
ピアノをはじめたのは7歳から。ついた先生が、これまた全身全霊で音楽およびKJへの指導に打ち込んでいる。KJ本人も、このナンシー・ルー先生を尊敬し慕っているが、けしてベタベタしないナンシー先生がかっこいい。

KJの学校は、名門おぼっちゃん学校と思われるDBS。ネクタイしめた制服で、生徒たちのスクールチームスピリットも活発(て言い回しヘンかな?)。だけど、KJは、みんなが盛り上がってるときには、一人でちょっとはなれている。
そういう人、けっこう好きです。

KJが常に意識しているのは、「人間になりたい」ということ。ベム的な意味じゃもちろんなく、まったき人間としてありたい、ということだろう。その志向と試行錯誤は7歳で音楽をはじめたときからはじまっている。まさに音楽=人生。
11歳のときの映像に、それを示すシーンがあってそこはやはり動かされるシーン。
このシーンがとれたから、映画をとりつづけることができたんじゃないかな。
KJは挫折や苦しみをしらないわけではなく、そのシーンのすぐあとか前くらいに、その経験が語られる。それをはなすときのKJは痛々しさもあるけれど、そこもやっぱりいいんだな。そういうところをさくっとあのあたりに投入する監督の手腕が、なかなかいいと思った。

こんど(間もなく!)香港へいくときに、この作品で新人監督賞をとった監督の新作がみられそうなので、いそいでDVDを見たわけですが、新作もたのしみだ。
黄家正くんは、今はどうしているのかな。

ほとんど室内や学校の教室やホール内の映像が多かったのだが、一度、家でごはんを食べるシーンがあった。外売したものだったんだけど、袋を見たら翠華だった模様。
KJや家族や同級生は英語混じりでしゃべっていて、こういう香港人もまだまだいるんだなーと思った。
(学校の授業が英語だったりするのかな?)


++++++++++++++
監督 張經緯
顧問 許鞍華
出演 黃家正、彼の家族、同級生、羅乃新
2008年香港




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2012年04月27日

徳川いれずみ師 責め地獄

想定内とはいえ、いろいろとゲンナリしました。でも、意外なこともいろいろあり、ふしぎな驚きのある映画でした。

いちばんゲンナリしたのは、題名にもある重要なテーマ、いれずみ。どのいれずみもきれいに思えなかった…わざと、江戸時代っぽくない図柄にしてたんだろうけど。
最後のしかけはなるほどとはおもったけど、ありゃボディペインティングだよね。

女主人と田中春男の悪徳白塗り与力が巣食う屋敷、部屋がケーキの一切れみたいな三角になってるのがおもしろかった。もちろん和風建築で。
もっとおもしろいのは中華な迷宮街市だけど、ますみたんが、あの人と別れ別れになり、しかもますみたんでなく急にでてきたあの人をカメラが追いだしたときには、やや不安になったけど、ああ、こうやって話を繋げるのか!と感心。
犬コロちゃんたちが可愛くて。
可愛いんだけどね。

賀川雪絵が田中春男に利用される牢名主役ででていた。彼女の船上の場面はスケバン風で元気よくかっこいい。
吉田輝雄も、今回は、とつぜん馬車を奪い駆け抜けたり、最後には殴り込みにいったり、なかなか活躍。ますみたんのことはややおざなり、かあいそうに。
そして、あくまでいれずみ道イノチでスジを通して最終的には立派でよい人だった小池朝雄、と、珍しいものが見られました。

石井輝男監督のこエログロ残酷路線(という言い方でいいのかな)、たぶんこれ以上見ることはないと思うけど、とにかく徹底して趣味(なの?)を追求しつつも話をまとめる腕力にはほとほと感服いたしました。
この作品だったら、たとえば、冒頭とラストシーンのあれは、物語には関係ない。一応、いれずみ師のライバルものというベースを設定しておき途中めくるめく趣味映像が流れていく。ベースの顛末はなんとかまとめ、あとは好き放題。というのは『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』や『怪談昇り竜』と同じ、かな。『異常性愛記録 ハレンチ』は、ちょっとその路線と違ってたけど、好き嫌いは別にして完成度高かったんじゃないかな、などど。
ますみたんや吉田輝雄は、モノローグが多い、とか。あ、モノローグする人は一応主役ってこと?
吉田輝雄、「このうすぎたない刺青が・・」とか言うところが、珍しくふつうのやくざっぽい感じで(やくざじゃないけど、やさぐれてはいるはずの状況)なかなかよかった。
未見の石井監督作、あとは、千葉ちゃんの『直撃!地獄拳』あたりは見たいな。そのうちに。

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俺たちの血が許さない

昨年の鈴木清順特集でみました・・。半年くらい前かな?

のちの東映での『唐獅子警察』を彷彿とさせる、アキラのやくざ兄弟もの、だった。

良太(小林旭)と弟の慎次(高橋英樹)の父親は、やくざもので、ふたりが子どものうちに殺される。やくざは俺一代でたくさんだ、の言葉を遺して。
しっかりものの兄の良太は、長じてからは、若くしてどこやらの支配人となり高い月給を取っている。
いっぽう、なにかと暢気な弟慎次は、林学科を出たのに広告会社へ入り、仕事はボチボチ、仮病をつかって地元のお祭りに参加したりのお調子者。でも曲がったことは大きらい。結局社員旅行中にケンカ沙汰をおこしてクビになる。
なかなか再就職できない慎次は、良太のところでやとってくれ、と出かけていくが、なぜかかたくなに拒む良太。
実は良太が勤めているのは、やくざ小澤栄太郎の下部組織なのだった。さらに、良太と恋仲の秘書松原智恵子は、小澤のスパイ。慎次をもとりこもうとする小澤を、なんとか阻止しようとする良太だが・・。

「唐獅子警察」では、兄弟の愛憎のうちわけは、四分六で憎あるいはライバル心の方がおおいが、こちらは基本、二人の間にあるのは愛である。
また、唐獅子では、兄弟は出自のハンデを乗り越えるためヤクザになるが、こちらは、ヤクザの血をひくことがハンデになる。
なにせ時間がたったので細かないきさつは忘れかけているが、小澤栄太郎の茶室で大きな体を小さくして頭を下げるアキラ、嵐の中苦悩しながら車を運転するアキラ、などが印象に残っている。なんとか弟だけはカタギにしたい、その一心で。
そういえば、一人称がずっと「ボク」なのも、カタギ志向だからかしら。
自分の運命に耐え弟のために力を尽くすアキラの姿がみものでした。

最終的には、少なくとも弟は助かってたと思う(←忘れるなんて…ひどいやつな自分)。
兄の願いどおり、弟はやくざにならずにはすみ、賢くやさしい彼女とともにまっとうに歩んでいくのであろう。
かわいそうな兄とその恋人(松原智恵子)。
細心でかっこよくて大人な兄のアキラと、のんき一本やりでざっくりしてるおめでたい弟ヒデキ、そんな対照的なふたり。高橋英樹の映画をあんまり見たことがないので、アキラと兄弟?ええ?と思ったけど(なにせ顔もまったく似てないし)、その対照的なところがよく、弟があんまりおめでたいので、かえって可愛くなんとかしてやりたい、と兄と同じ気持ちになってみることができました。



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監督 鈴木清順
撮影 峰重義
美術 木村威夫
出演 小林旭 高橋英樹 松原智恵子 長谷百合 小澤栄太郎 細川ちか子
1964年 日活 天然色
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2012年04月26日

省港旗兵

「百部不可不看的香港電影(pdfのリンク)」にも選ばれている有名な1本。
邦題は「九龍の獅子/クーロンズソルジャー」。

演出、俳優、話の中身、アクション、すべて文句なし、おもしろかった。
広東省の元兵士仲間の5人が(もともとは6人?)、香港で強盗して一攫千金しようとする話。リーダーは、何度も事件を起こしすでにお尋ね者になっている大東。3日間という限られた時間の中で、計画は予定通りにいかず、ついには九龍城砦に追いつめられることになる。

香港と大陸の関係がどういうものかよくわかる。1984年の映画だけど、「ワンナイト・イン・モンコック」と同じね。たまたま生まれた時代と場所で、大きくちがう人生。すぐそばに、自分のとことは大違いの豊かな世界があり、ひとりじゃ難しいけど仲間がいれば分前を手に入れることができる、かもしれない。
そうはいっても叶わないこともある。香港で夜の仕事をしている昔の恋人に会いにいった一人が、彼女と香港に残る・残らないの話をして、決め手もなく、それより今の時間を大切にしよう、と言う場面などもある。

彼らは兵士出身だから、実戦には手馴れていて、街中の逃走場面なども迫力ある。この仕事により、大陸で一生働いても稼げない額を危険を犯してでも手に入れようとしているから、荒っぽくもあり、関係ない人を殺してしまうこともある。
だからしかたないんだけど、最後の警察の容赦ない攻撃と、天井から…のあのシーンは重く来る。

大東役の林威、邵氏のカンフーものにも出ていたらしい。この映画で金像奨新人賞にノミネートされたらしい。
この人がもう、圧倒的にかっこよかった。背が高いというのもあると思うけど。
ほかの俳優たちも、みな目が本気で。だけどつぶらな瞳に見えてしまうという。容赦なく人殺しなんだけど。
全員、メジャーな俳優ではないようだけど、そこもいいんだろうな。林威自身も、20歳くらいで山東省から(馬永貞みたい!)移住してきて最初は仕事もなかった、とか。

中文のウィキペディアには、「《省港旗兵》的成功影響不少日後的港產警匪片製作」て書いてあったが、アクションや暴力描写と、社会と人間をしっかり見ているがゆえの人間描写が、こんなにバランスよく拮抗している作品はなかなかないんじゃないだろうか。
迫力ありスリリング、かつ、胸を打つ映画です。

++++++++++++++++++
英語題 Long Arm of the Law (これもすごい題名だ)
監製 麥當雄、洪金寶 
監督 麥當雄
脚本 陳欣健
アクション監督 洪家班、陳會毅
出演 林威 黄健 江龍 陳健 方烈 藍湘森
1984年香港
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2012年04月25日

算吧啦,老豆!

フィオナとリウ・カイチーが親子役、ふたりともスキなので前から見たいとおもってたDVDを先日やっと見てみた。
お話のフォーカスは、親子関係ではなく、リウ・カイチー演じる中年男の人生物語。かつては俳優で、大人気ドラマの主役だったが、主役は二人で、そのうち、かっこよくて注目をあつめる方、ではない方だったので気持ちは複雑なのである。今はコンビニ(といってもある程度大きくて広くて、品揃えも豊富なこぎれいなみせ。)で働いているが、いつか再びチャンスがめぐってきて自分ひとりが主役の映画をとることを夢みている。そのチャンスらしきものが来たのだが・・。

基本的に、リウ・カイチーの演技力で成り立っている映画。
たぶん、監督は、中年男の人生話を語るには若すぎるんじゃないの?というか、いろんな演出に凝るのはいいけど、それ以前に話の骨子がちゃんとしてないとちょっと。
えーそんな風に思うかなあ、こういう経歴の人が。と老婆心ながら思うことがしばしば。
でもとにかく、リウ・カイチーはほんとに実力ある俳優さんだなあとあらためて。
リウ・カイチーがひとりでなんやかややってるだけでも(たとえば、最初の方にある、朝起きて冷蔵庫の水飲んだりDJである娘のラジオをきいたりするような、なんでもないシーンでも)観る甲斐がある。

リウ・カイチー演じるおじさんが、昔でていた映画だかドラマは『上海灘』ってことになっている。
で、「かっこいい」相棒役は、單立文さんがやっているのだが、爆発的人気があった俳優としてのオーラは足りません。
『上海灘』、見たことないけど見ていればもっとおもしろいと思える箇所があったのかもしれない。
みておかなくちゃ。


+++++++++++++
英語題 The Way We Were
監督 劉建平、許樹寧
出演 廖啟智、薛凱h、單立文、周柏豪
2011年香港
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2012年04月24日

城市特警

アクションシーン&ガンファイトがいっぱいの警察もの。ジョニー・トー監督の初期作品(共同監督だけど)。

主人公はレイ・チーホン李子雄。以前つかっていた線人がマレーシアで残虐なやり方でころされ、なにか事件を追っていたらしい痕跡がある。マレーシアからもひとり助っ人をむかえ、カム、新米君と共に4人で捜査をはじめる。あやしいのは、ゲイボーイとの写真で脅迫されているさる銀行幹部だが、そのバックには彼をあやつるさらなる組織があった・・。

捜査チームチーフのレイ・チーホンは二枚目だが、マレーシアからきた助っ人は常にグラサンのおっちゃん、カムは愛嬌のある顔したひょうきんなあんちゃん、そして新米君は、死体をみると吐いちゃうまだまだかけだしでジャッキーっぽい顔。この4人の組み合わせがなかなかよかった。とくに、カムを演じたのが郭追フィリップ・コー!ショウブラザースの『五毒』のひとりで、動作もやってるし、自身のアクションもほんっと身軽で痛快だった。
郭追だけでなく、ほかの人もみんな結構なスタント的アクションをこなしていて、ヒュウッ!っていいたくなるようなシーンが多かった。火薬も弾薬も使い放題だし。
ただ、命は安くて、結構「ええっ!」ていうような人(重要な人、通りすがりの人など)も死んじゃったりして、最後は4人のうちのひとりも死んじゃう。
レイ・チーホンは、髪の毛はあるし、彼の心情はせりふじゃなくていろんな演出でわかるようにされていて、数々の困難におそわれながらも断固としてがんばるクールガイとして成立していた。
私的には、とにかく、郭追。もうほんと身軽で凄いことやるけど顔はあのとおり愛嬌あるかわいさで、見ててとてもたのしかった。
ちなみに、いちばん悪い人は朱江がやってました。

ジョニー・トーxチョウ・ユンファの『阿郎的故事』で、最後のレースの場面にかかってべたべたに悲しみをもりあげるあの曲が、レイ・チーホンが線人との日々を回想するシーンでつかわれてた。
ジョイ・ウオン、かわいかった。出番はそう多くはないけれど。

人死にこそちょっと多いけど、みおわったあとはなんだかさわやかな印象の、都会的な映画でした。

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城市特警 The Big Heat
監製 徐克
監督 金揚樺 杜h峰
脚本 陳嘉上ゴードン・チャン
動作設計 郭追フィリップ・コー ほか2名
出演 李子雄レイ・チーホン 王祖賢 黃衍濛 盧景華 郭追 朱江
1988年香港 電影工作室
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2012年04月22日

弥次喜多道中記

一ヶ月半くらい前に録画で見ました。

千恵蔵さんはいい人だ。それに男前。
鼠小僧次郎吉と、ともに身分を伏せて弥次喜多珍道中。ほんとの弥次喜多(ディック・ミネと楠木繁夫)は歌道中。
のんびりしているようでいて、場面のきりかえは早く、緩急あって、とにかくたのしく見せてしまう。
最初はいきなり捕物だしね。
次郎吉にはニセモノがいて、ニセモノは強盗だけでなく殺人までしていて、ホンモノは泥棒だけ。荒っぽいことしなくて義賊なんだけど、それでも、やっぱり盗みはいかんぞよ、というお裁きのオチは、堅苦しいというより、安らかな生き方を志向する、てことかな。

主人公たちが、日本橋?で再会を約束するのがいい。昔の時代劇にはよくそういうのありますね。でも、もしも期日が来る前に事故で死んだりしたら、相手はむなしく待ちぼうけ。どうして来ないのかわからないまま。
会えたらどんなにうれしいでしょう。

千恵藏さんの若いときの映画は、もっと見てみたいです。フィルムセンターにもっと通えればいいのだけど。

+++++++++++++++++++
監督 マキノ正博
脚本 小国秀雄
音楽 古賀政雄
出演 片岡千恵蔵 杉狂児 志村喬 美ち奴 ディック・ミネ 楠木繁夫 悦っちゃん 原駒子
1938年日活
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捜査官X


初日にみました!いや、予定ではそうではなかったのですが諸事情により急遽。
ラストの回だったけど、ポストカードももらえましたよん。

原題『武侠』、なにか渋い映画かと思っていたら、渋くない、ことはないですが、ああ、こういう話だったのか、と。
最初、おだやかなドニーさんの生活が描かれ、つぎに暴力事件がおき、捜査官の金城くんがやってきて、根掘り葉掘りたずねはじめていくうち暴力事件での「あれ?」があばかれ、ついでにドニーさんがただの職人ではないことがわかり・・というところまでの流れはなかなかスリリングでおもしろかった。
さらに、ドニーさんの来歴事情がわかりはじめてくると、これは・・○○○○○・○○・○○○○○○?!と思いましたが、結局は家族・「血」がからんできて、一瞬雷蔵さんの○○○になりつつ、最後は武さんも大活躍。無論、その間にはドニーさんのアクション炸裂!後半は、恵英紅クララ・ワイやジミー王羽さんとの対決シーンもありみごたえあり!

○○○○○・○○・○○○○○○でも、主人公は、ドニーと同様、過去より現在を選びとるわけだが、過去は完全にたちきれたかどうかの保証はなく現在はあやうい地盤の上にある、と思わせるのだが、そこがその作品のおもしろいところだった。
ドニーさんの過去は、血族により決定されており、つまり、出身により定められていたわけだが、現在は、その血によるつながりを断ち切り、自分がつくった家族を選びとった、ということになるんだろうか。その後の姿はえがかれていないがこれでめでたしめでたし、ということなんだと思う。
○○○○○・○○・○○○○○○とはテーマの立て方がそもそも違い、あくまで、エピソードが似ているだけなのでそれで当然ではある。
この映画では、ちいさな虫から人間・牛にいたるまで、「命」をもっている、ということをごく単純に見せる場面も結構あり、ドニーの過去にあらわれるある職業のことも考えると、その「命」を奪うというのはどういうことか。というのも意識されてる、ようにみえた。
でも、ドニー対いろんな人たちとの圧倒的ファイトはそういうことを、すくなくともそれを見ている間は忘れさせる。よくも悪くも。
まあそれもこれも、私がつい○○○○○・○○・○○○○○○を思い出しちゃったからこそ思うことなのかもしれない。
ただ、捜査官Xことタケシカネシロもの葛藤も、ふっとばされてたなあ。
(ふっとばされてたといえば・・最後の方のファイトで、こどものうちの一人が、怪我した描写はないにしても長刀がぶつかってふっとんでいたのだが、そっちの方の子どもがふっとばされたのはどういうこと・・と思ったが、それは私の深読みしすぎ、でしょう。)
【後記】彼を傷つけないようにわざと、ですね。なるほど。金城武目線で疑ってました。

全体に、カラーがカラフルで、うつくしき田舎の風景が大フィーチャーされている。ロケ地の地元住民とおぼしき人々が歌をうたう場面もいくつかあり。しかし歌はのどかな目的にだけ使われるんじゃないんだなということもわかった。
あと、新機軸としては、金城くんの科学捜査的解説とその映像、かな。それもとってもカラーフル。
金城くんの行動は、はたからみるとかなり怪しくて、笑わせてもらった。
ドニーが圧倒的ファイトを見せる映画は、やっぱりそれが最大のみどころになりがちで、ましてや時代劇だと物語は「お話」になってしまいがちだけど、そうだとしても、金城くんがいてくれたおかげで、楽しいお話になりました。
あとは、タン・ウエイちゃんとドニー夫婦の情熱的なシーンもあるとよかったかしら、ふふ。(これもPG12の理由かしらんという会話はあったけど)

image-20120422092102.png
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原題 武侠 Wu Xua
監督 陳可辛ピーター・チャン
脚本 林愛華
音楽 陳光栄&金培達
出演 甄子丹ドニー・イェン 金城武 王羽ジミーさん 恵英紅クララ・ワイ 
2011年香港?中国?
言語は普通語、ドニーもジミーも吹き替え、金城さんは自分の声
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2012年04月15日

新女賭博師 壷ぐれ肌

録画で観ました。
三隅研次チェック。

江波杏子の壷振り師の物語。「新」とつくからにはそれまでと違うことをやろうとしているのだろうか。
といっても、それまでにシリーズをまったく観ていないのでなんともいえないのだが、それにしても、新機軸?要素がまじった前半は、色んな映画風味がまぜこぜで、ちぐはぐな印象。
洋服でトラックを運転する杏子さんが草っ原を駆けて一対おおぜいで現代立ち回りをする、のは梶芽衣子っぽいけど、運転席の映像はあきらかに実際に運転してない、とか。
尼さんのかっこで壷振るねえさんが伊達三郎と畳の上でお色気シーンやったりするのは狂四郎風味。ミニワンピースの女の人が壷ふったり、ふつうにスジを通す人のいい親分がいたり、杏子さんが競輪場のホットドック屋兼予想屋だったり、
主題歌は江波杏子なのかわからないけど、緋牡丹お竜の歌にかなりそっくり。しかも最初のエピソードがおわってすぐ、単なる時間経過の背景音楽として流れちゃってるし。
音楽は鏑木創で、いつものティリン。ていう音が入る。
あと、昇り竜のおぎんさん(江波杏子の役名)ともあろうものが、賭場でばったり好きな男に会うと動揺し、しかもその男に、感情的になってたらりっぱな賭博師になれないよ〜んと言われたりする。

後半は、なにか野心をもってるらしい、売り出し中の女壺振りの安田道代が出てきて、彼女のキャラは明確なので安心。私はこの頃の彼女が好きなので、ニットのポンチョやミニワンピース、普通に着物といった姿で壺を振り、対渡辺文雄や最後の大勝負でも物怖じしない態度を見て多少スッキリ。
とにかく、主役のキャラがよくわからなく、冴えてみえないのは、プログラムピクチャとしてはどうなんでしょうか。

これは、1971年公開で、大映はこの年には倒産してます。
だからなのかなあ。
ちょっとさびしい内容でした。

++++++++++++
監督 三隅研次
脚本 高岩肇
出演 江波杏子 安田道代 川崎あかね 本郷功次郎 渡辺文雄
1971年大映
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大巨獣ガッパ

一ヶ月ほど前に見た映画です。

ゴジラもモスラも見てないので、これが初めての怪獣映画。テレビのウルトラシリーズはタロウくらいまではしってますが。

怪獣はこわくて可愛い。
私は子どものときはほんとに、あの着ぐるみの造形自体こわかった。異形のインパクト。
さすがに今回、本気でこわいとは思わなかったけど。でも、ちょっとこわいと思いながらドキドキして見てしまう、あの感覚を思い出した。
可愛い、については、ウルトラシリーズにおいても、怪獣に同情できるようなエピソードがよくあり、可愛く、というか、かわいそうになることもあった。
ガッパの場合も、人間(それもごく一部の日本人!)がよけいなことをしたから出張ってきただけであり、そもそも人間がまいたタネ。
ああ、ウルトラシリーズでも、人間がおろかだ、て話がよくあったな。ただ、この映画においては、くだんの人間たちはその愚かさをあんまり深く反省してない感じ。
地元密着型で、きれいな心の女こどものいうことはきく、というガッパは、ウルトラシリーズでいえばウーみたい。
…と、ウルトラシリーズと比べるのをやめられないわたくし。
ちなみに、大人になってからは、ウルトラシリーズを見直したことないので、上記はあくまで記憶に基づいての比較です。

一応日活映画なので。

おめあては、川地民夫でしたが、まあ、とりあえずあの半ズボン半袖ハットの探検ルックを見られたということで。(ああ、やっぱりスラっとしてるね、というだけです)
山本陽子は、こども番組の紅一点的ルックスだった。つまりこどもっぽいかわいさ。
藤竜也は二世だったみたい。小高雄二はあいかわらず表情がない。
和田浩治!いてもいなくてもいい役だった。
第二の裕次郎だったのに。

1967年公開なので、川地さんのセリフも、同僚カメラマンの山本陽子に対し、「君なんてタマネギ刻んだり、オムツ洗ったりしてればいいんだ!」とかいうのがある。
(しかも最終的に、そうね、私にはやっぱりそっちが似合うわ、ということになるし)
それだけでなく、そもそも黒崎(川地さん)たちの会社プレイメイト社社長の発想が植民地的だし、南洋のオベリスク島島民が日本人が来ると安心するとか、戦後20年以上たってもこれかい、というか、戦争でなにか学んだりは決してしないのね、というか。

そういう点以外にも、単純に、ツッコミどころはたくさんあり、でも大真面目な俳優さんたちってほんとに偉大だなあ、と。
特撮は津波描写か迫力ありました。



監督 野口晴康
出演 川地民夫 山本陽子 藤竜也 小高雄二 和田浩治
1967年日活





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2012年04月12日

侠花列伝 襲名賭博

録画したのを2回に分けてみるという適当な見方で見たが、なかなかおもしろかった。
松原智恵子主演の侠客もの。
といっても、彼女が演じるのは芸者の志満。最終的には、向田組三代目を継ぎ、向田が持つ湯元の権利を狙う本堂組長父子(見明凡太朗と深江章喜)と対決する。

メインは、お志満さんと、温泉で彼女が偶然助けた高次(藤竜也)との恋物語。高次とのこの縁と、親に決められたようないいなずけの向田二代目(江原真二郎)との縁がからまって、お志満と高次(たかじ)の二人は添うことができない。前半の、志満と高次が出会い、惹かれあい、再会を約していったん別れるところまではなかなかロマンチックで、盛り上がる。特に、東京へ逃れる志満が乗る汽車が走っていく手前の草原を、本堂組の者たちと闘いながら高次が汽車を見送るように駆けていくシーンがよかった。
脚本が星川清司で、志満が高次をかくまっているときの二人の会話も恋しはじめのうきうき感もあって微笑ましい。

後半は、男二人が一種身を引くような行動をとり、二人に片想いな高橋英樹と梶芽衣子がからんだり、いい方向に行くかと思えばやっぱりダメで、最後はカチコミで決着がつくが誰も得るものはないという。
で、智恵子さんは、出入りはしない。ほかの人がやる。彼女がやるのは大事なことを賭けた壷振り勝負。きれいで、今の若い人がみても可愛いと思う種類の可愛さ、なんではないか?とにかくまじめできっぱりしていて、でもしかしそれだけで三代目をやるのはきついと思う。度胸のある芸者、と、親分業はやっぱり違うものだし。
しかし、彼女と藤竜也の高次との組み合わせはなかなか良くて、やくざ映画だからうまくいかないと思うけど実はハッピーエンドだといいな、と思うくらいだった。
藤竜也も、この人の無器用ながら黙々とやる、体は動かす、みたいなところが出ていて、出入りの場面でもかっこよかった。

この映画の美術は木村威夫で、そのせいか、『花と怒涛』の高品格の店に内装が似ている居酒屋が出てきた。それよりなにより、どの場面もなんだかステキで、特に建具がまたまたステキだった。障子を多用すると、桟のひきしめ感とぼうっとした光が美しい。鹿沢温泉のロケもナイス。
あとちょっと笑っちゃったのは、大事な壷振り勝負の場面で、うしろのふすまの絵が、尾形光琳の杜若図と、紅白梅図にそっくりだったこと。
話は、特に後半ちょっとコマコマと曲折があったし、梶芽衣子と高橋英樹の片想い組の方がスター感があるのが(今見るからでしょうが)ややちぐはぐなんだけど、とにかく、ずーっと雰囲気のある映像がつづき、若く「きれい」なんだけど慎ましさも感じられるヒロイン&ヒーローのせつない物語って感じで、大傑作ってわけじゃあないけど、好感がもて、個人的には気に入りました。

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監督 小沢啓一
脚本 星川清司
撮影 横山実
出演 松原智恵子 藤竜也 江原真二郎 植村謙二郎 高橋英樹 梶芽衣子 見明凡太郎 深江章喜 細川ちか子 佐野浅夫 奈良岡朋子
1969年日活
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2012年04月11日

下郎の首

シネマヴェーラにて。
今さら観てないなんていえない! 時代劇特集、だって。

★槍持ち奴のとっぺい(田崎潤)が仕える大旦那が、湯治場滞在中、碁の相手の見知らぬ武士に斬られる。若旦那ととっぺいは、敵をさがす旅に出るが、若旦那はやがて病気になってしまう。大道芸人としてわずかな日銭を稼ぎながら若旦那に尽くすとっぺい。偶然知り合った女、いち(瑳峨三智子)の家で、敵(小澤栄)をみつけるが、若旦那に討たせるべきその男を、いろいろな成り行きにより、とっぺい自身が殺してしまう。怒り狂う若旦那。敵の弟子たちも、年若い息子を擁して敵討ちにやってくる。追い詰められるとっぺいと若旦那、とっぺいを慕って追ってくるいち。一同が河原に会しての顛末を、そこにある藤ノ木地蔵は全部みておりました・・。

忠義な奴(やっこ)さんとっぺいの忠義心は報われず、あくまで下郎として扱われる。若旦那の方も、武士のさだめのつらさにほぼくじけている。そういう、やせがまん的抑圧のばかばかしさを認識できる女が介入し、人間らしい愛情をもたらすが、結局は・・というわけで、伊藤大輔監督なので悲劇的に終わるだろうな、と予想はしつつも、なんとかならないのかと悲しくなる、といういつものパターン。
というほどは見ていないですけどね。『忠次旅日記』(フィルムセンター蔵の)と雷蔵出演作とあと少ししかみていませんが。
とにかく、つらいと思いながら自分が守るべき道を守ろうとするあげくの悲劇、というくりかえしで、伊藤大輔監督は厭世的なのだろうか。
どうすべきか悩む、自分の基準を尽くそうとして苦しむ、というのは、つらいけどキライではない・・でも人間の意志薄弱さとか弱さをつきつけられてつらいのはつらい。

最後に女がからむのがもしかして伊藤大輔っぽいかな。
とっぺいと、おいちが、手をにぎりあって死ぬのをみて『薄桜記』を思い出した。
あと、逃げ出した先で、無事にお国に帰れたらお嫁さんにして、とおいちにべったりとくっつかれ、とまどいながらも、「・・うん」ていうとっぺいがよかった。
田崎潤は、悪くはないけど、『血槍富士』の千恵さんにくらべたら、やっぱり全然ものたりない。だけど、この「・・うん」のところは気に入ったわ。
それに、実際の奴さん像としては、あの素朴なところ、とにかく忠義だけであまり考えていないところがリアルなのかもしれない・・・奴さんに会ったことないけどね。

忠義な奴さん物語、ということで、つい『血槍富士』と比べるわけだが、自分の気分もあるかもしれないけど、『血槍富士』の方がいろいろと豊かだったような気はする。
演出や美術や脚本には言うことはないんだけど・・冒頭の湯治場のつり橋の絵もイントロとしてよかったし。とっぺいがおいちに出会うときの雨降り、雨宿り、そして障子に槍を・・ていう展開も、風情とユーモアがあってよかったし。
というか、演出は、おもいきりわかりやすく、しつこいほどに演出している気が。
いきなり変心する若旦那に「え」と思ったが、そのあとすぐ、文を書こうとして頓挫し葛藤する場面とか、なんていうんでしょう、戦前の文学的映画ってこういうのだったんじゃないかな?と思うような演出。
フィルムはないのかもしれないけど、戦前の『下郎』ていうものを観てみたいものだ。
(そのセルフリメイクがこの『下郎の首』なのだそうだ。どうもおかしいとおもった・・オリジナルのを観られるんだと勘違いしてたので、そしてちょっと遅刻してクレジットの途中から入ったので、この山田五十鈴、瑳峨三智子にそっくり・・と0.1秒ほど思った)

戦後リメイクなので、なんと丹波哲郎が出ていた。
敵さがしの旅の途中出会う武士の役。まだ若旦那がまっとうな気持ちをなくしていない頃の話で、とっぺいの忠義心をわかって助けてくれる人なので、とてもいい役。
新東宝の映画だから出てたのね。


監督・脚本 伊藤大輔
出演 田崎潤 片山明彦 小澤栄(小澤栄太郎)瑳峨三智子 丹波哲郎 岡譲司(大友柳太郎にしては顔のタテ寸が短いと思ったら)浦辺粂子 三井弘次
1955年新東宝 


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2012年04月03日

ドライヴ

たまに見たくなる「すこしノワール」な映画。事前に見たのは短い予告編、もしくはポスターだけだったかも、でも、見たいと思ってた。はじまってみたら話題の映画だったらしくてすこしおどろいた。
カンヌで監督賞とってたらしい。

★映画のスタントドライヴを仕事にしているドライヴァーは、その腕前を生かし、裏の仕事もひきうけている。
同じアパートの子連れの女性と知り合い、いい感じになっていくが、女性の夫が出所してきた。夫は更正するつもりではいるのだが、そうはいかない剣呑な事情を知り、ドライヴァーは協力を申し出るが・・。

主人公のドライヴァーは、もちろんすごい運転の腕前なんだけど、それを生かした話の部分が思ったより少なかった。後半はよくある「○く○のいざこざ」に関わることになっていて、ま、車も使ってるけどそれ以外の○力の行使が強烈。

私がおもしろかったのは、口数すくなく孤独で、クールに自分の表仕事と裏仕事をこなしていたドライヴァーが、いとも簡単に(というように私にはみえた)「油断」して、あたたかく、幸福な香りのする方にひかれていってしまうところ。絶対にこのままこの幸福が続くわけはない、というサスペンスがあるし、それでもやっぱりひかれていく、というところが、B級っぽいロマンがあっていいじゃないの。
ヒロインがもうちょっと大人っぽいタイプでもよかったかな、と一瞬思ったが、そうじゃなくて、あのあどけなささえあるようなああいうタイプってところが、たぶんいいんだと思う。

舞台はロサンジェルス、どういう場所なのか、私にはあまりイメージがわかないところ。
でも、ビルの明かりがいっぱいな夜景の鳥瞰がきれいだと思った。
あと、夜間にドライヴァーが運転しているのを横から映したとき、顔は光があたってなくて真っ暗な中目だけに光があたってる、とかいうのも。
ドライヴァー(彼には名がないらしい。キッド、てのはたんなる呼びかけか)とヒロインの住んでいるアパートがステキだった。すこしレトロなドア、ひろい廊下。
音楽はちょっとイマイチだった・・というか合ってないような。どうしても名前が思い出せないんだけど、女のボーカルがいる80年代のイギリスのあるバンドの曲みたいで、曲自体がどうのこうのでなく、んー、もうちょっとほかに合うのがあるんでは。という感じだった。あくまで個人的な「感じ」ね。

しかし、この程度の感想はツイッターで十分ではないかと思う今日このころだが、とにかく、忘れちゃうので書いておきたい。
でも忘れるっていうのは困るんだろうか?と思ったりも。

そうだ、できれば忘れず書いておきたいこと。
ドライヴァーが彼女に言うせりふとか、後半での○く○がらみのいろいろなせりふの端々に、「この街をでていきさえすれば逃げきれる」あるいはそのように「逃げるしかない」みたいなニュアンスがあったが、『狩人の夜』のころから現代に至るまで、アメリカってやたら広すぎて、違う洲は法律も違うし違う土地で、だから犯罪も成立するし逃亡もできるんだな、と思ったのでした。


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Drive
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
原作 ジェイムズ・サリス
出演 ライアン・ゴズリング キャリー・マリガン アルバート・ブルックス
2011年アメリカ
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2012年03月28日

熊ちゃんが愛してる

大阪アジアン映画祭で見た映画。
特別この映画を意識してたわけじゃないんだけど、ウォームアップにいいかな、と。

ディラン・クオは、テディベアを持ち主のかわりに海外旅行をさせるツアコン。
熊ちゃんをクライアント宅に迎えにいく途中で交通事故に。
病院に運ばれる途中、車に乗せていたはずの熊ちゃん三人が行方不明に。
しかたなくかわりの熊ちゃんをそれぞれの持ち主に届けることに。金持ち老夫婦、難しい持病のある女の子、メンタルな問題をかかえる若い女性。
なりゆきで彼らとかかわり、結局みんなで遠くまででかけるはめに・・。

丁寧に一生懸命、自分の見せたい話と絵面を実現させるべくがんばったんだろうな、監督は、
と思った。
テディベアをここに置いて、こう撮って…というのも、絶対熱心に考えたかと。

まあとにかく、イヤな人は出てこないし、最後はハッピーエンドだし、素直に見られるたわいないお話だったなー。
知らない同士が旅に出るっていうのもよくあるし、こどもの難病もよくあるけど、熊ちゃんを媒介にしたとこがちょっと新鮮。
都合よすぎるかなーというところもあるし(若い女性の職業とか、メンバーに金持ちがいるとか)、女の子のお父さんが実は・・ていうのもこの頃よくあるパターンのような気もしたけど、まあたまにはこういうほんわか話もいいじゃないですか。
東京で一般公開されたら、「台湾映画か。ディラン・クオね。ま、時間があったら・・」てことになって見そびれてたと思うし。
香港人で台湾で働いている、て設定の人もでてきて、よくあることなのかもしれないけど、そうか、と思ったり。

今回見た4本、どれも都会ばかりでなく山や海やあるいは田舎が(も)舞台のものばっかりだったな。
この『熊ちゃん』も、海へ行くし。
古い電車の車両を利用した田舎の食堂、なんてのも出てきたが、そういうのは、台湾や日本っぽい気がする。日本でいうような「カフェ」も台湾にはいっぱいあるんじゃないかと予想。
ディラン・クオは、前に見たことあるのは『軍鶏』だけなのですがもちろんこの方がいい。しかし、あの髪型のせいでよく顔が見えなく、また背が高いのが印象に残り、今思い出そうとすると阿部寛の顔にすげかわってしまうのだった・・。


大阪アジアン映画祭@シネ・ヌーヴォ


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原題 熊熊愛上你 Bear It
監督 チェン・フェンフェン(鄭芬芬)
出演 ディラン・クォ(郭品超) クー・ジャーヤン(柯佳[女燕]) ディン・チアン(丁強) マー・ズーチン(馬之秦) チェン・シーシェン(陳希聖)
2011年台湾
*漢字表記、中文原題はこちらのブログで教えてもらいました。
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2012年03月26日

カルメン純情す

「カルメン故郷に帰る」の続編、第二部。
舞台は東京。
あいかわらず芸術をつづけているリリー・カルメン。朱実はアカの演劇人にだまされて女剣劇を経験し、あげく捨てられ赤ん坊連れで働けない。なんとか三人食べるのに汲々とする日々。
そんなとき、カルメンは、モダン芸術をやってる道楽浪費家ボンと知り合い、惚れてしまう。しかしボンには婚約者がいた。

「故郷に帰る」は、戦後初のカラー撮影だそうだがこちらはモノクロ。
えらくイカレた話だった。
カルメンことおきん(高峰秀子)が惚れたボンは、誠意も何もなく、自分やいいなずけの親から金を引き出すことしか考えてない。結婚もそのため。いいなずけ(淡島千景)も結婚しないと遺産分けしてもらえないから結婚するだけ。
いいなずけの母は、金のこともいうがとにかく選挙に当選することが第一。
そういう自分勝手な人たちに振り回され、なおかつ勝手に誤解して悲劇のヒロインになったつもりのカルメン。
といったイカレた人たちの狂想曲だから、ほぼ常時、カメラが斜めに傾いてるんだろうか。

第一回普通選挙が行なわれる、ということで、ボンのいいなずけの母の立候補ネタがあるわけだが、ヒゲをはやしノーブラで洋装の彼女の描き方は、どういうつもりなんだか、どういうウケねらいなのか、いまとなってはよくわからんなあ。東山千栄子の「ゲンバク」発言も。

ボンが客席にいるせいで、舞台でストリップできず、みんなに責められるカルメンを、朱実(小林トシ子)が女剣劇スタイルでかばうところは大好き!
あと、カルメンがあかんぼおぶって、浅草松屋をバックに隅田川沿いを歩くところも。

「故郷に帰る」と合わせて見た感想は、日本の庶民は戦争で学んだりはしないんだね、てことです。



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監督脚本 木下恵介
出演 高峰秀子 小林トシ子 淡島千景(ショートヘアがかわいい) 若原雅夫 三好栄子 斎藤達雄 村瀬幸子 北原三枝(マトモな人役)
1952年松竹座
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2012年03月25日

カルメン故郷に帰る

初めて見た。
浅間山ロケがいいね。向こうに山があって、草っ原で色白な娘たち(カルメンと朱実)がおどったり、校長先生が吟詠したり。そこに牛や馬が来る、と。最後に汽車が画面下奥に走っていって、カルメンたちの明るい服の色が小さくなるまで見えてた。
DVDなんかでみたら、浅間山や牧場も、観光絵葉書にみえたかもしれないけど、スクリーンでみたら広々しててよかった。

村人たちの間に波紋をもたらした、カルメンの帰郷。彼女にも、家族や村人たちにも、トータルで見れば、幸をもたらした出来事だったと思うけど、父も含めて、彼女たちの踊りは村人たちにとってハダカ踊りでしかなく、ギャラも「不浄の金」なんだ。彼女の「芸術」は、認めてもらえなかった。
・・・とか思うのは私だけかな。
でもそれでも、そのお金を大事にしようということで、ギャラは父から校長へ託される。
それがあのおとうさんにとっては、せいいっぱい、娘のためをおもってのことなんだな。
だからお金を持って、校長に自分の思いを話すおとうさん(坂本武)の姿には、ほろってくるけど・・でも、おとうさん、「あの子は子どものとき頭をうってアホになった」て思ってるんだよね。
リリー・カルメン(高峰秀子)は、マリリン・モンローみたいな扱いだなあと思った。

このおとうさんとか、カルメンのお姉さん(望月優子)とか、今ではいそうにないタイプの人たち。
あと、村人たちは、俳優なのか、エキストラなのか、どうなんだろう・・。
カルメンと朱実ちゃん(小林トシ子。彼女は腕も脚も細くてスタイル良し)が芸術ストリップをするときの観客・・は俳優なのかな。運動会の人たちは?
あの村人たちも、最近ではみかけない顔つきな感じ。
めくらのオルガン弾く人、佐野周二だったのか。彼の作曲した故郷の歌というのが、とてももの悲しくマイナー調で、どうしてそうなっちゃうんだろうなあ。戦争へいって目がみえなくなってかえってきて、記憶の中の故郷を歌う・・からだろうか。

木下恵介という名前は有名だけど、私初めて作品見たかも。
吉田輝雄様のトークショーできいた話などがつい頭に浮かんでしまうが、なんか結構ヘンな人なんじゃないかという気が・・。
いや、今、これを書いている時点で、続編の『カルメン純情す』を見ているせいかもしれませんが。




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監督・脚本 木下恵介
衣装提供 高島屋
出演 高峰秀子 小林トシ子 佐野周二 井川邦子(馬をひいてるきれいな人) 見明凡太郎(丸十。goo映画には小沢栄太郎ってなってる) 三井弘次(クセありすぎ) 笠智衆
1951年松竹(ああそんなに昔の映画か・・なるほど)


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大阪アジアン映画祭

第7回目を迎える大阪アジアン映画祭。
終了後1週間以上がたちましたが、ブログを書きおわるまでが映画祭。てことで軽くおさらい。

昨年は、震災のため東京駅で新幹線に乗る前に断念しました。
それをのぞいても、実は二回目の参加。
第1回は韓国映画祭ということになっていて、第2回から大阪アジアンの名称に。その回、2006年に、イーキンの「デザート」を見たのでした。そのときは、映画は一本で、あとは通天閣とかで観光してました。

今回は、朝東京を出て一日4本映画鑑賞。ホテルで寝て翌朝始発のぞみで東京へ戻り出勤。
映画祭のみを満喫した濃い一日でした。

1本目、『熊ちゃんが愛してる』。
まずはウォームアップ。イヤな人は出てこない可愛らしい映画でした。
ディラン・クオって背が高いのね。

たのしい明るい気分になったところで、腹ごしらえ。
噂の「いずみカリー」へ。
小さな店内、12時すぎると混み出しました。
辛さも適度でおいしかった。

2本目、『セデック・パレ 虹の橋』。
前編見ずに後編だけなんていう変なことは通常はしませんが、映画祭にもってきてくれた人の心意気に応じ見ることに。見ない後悔より見る後悔。
結果として、ものすごく気をもたせる長編予告編を見た気分。
いつか前編をあわせて見るときに感想はまとめたいですが、とにかく、セデック族を演じた役者たちの素晴らしい身体能力と魂こもった演技力に感動!
撮影が大変な仕事だったこともよくわかる。
映画祭の観客賞もとったとのこと。多くの人の心に響いたのでしょう。
ぜひ完全版での日本公開を願いたい。
(さらにできれば大きいスクリーンでプリーズ)

以上2本は、シネ・ヌーヴォで。
映画関係の本、DVDなど販売し、壁に映画人のサインがいっぱい。
映画ファンのための映画館。

image-20120320090149.png

3本目、『星空』。
ここから二本は梅田ガーデンシネマなのですが、駅からの道で迷い、結局遅刻!
映画館の人にきいたけど、宝クジ売り場が二つあったのがなあ…。
そんなわけで、徐嬌ちゃんが、一緒にパズルをしようとお父さんに言って断られるところから見ました。
素晴らしかったです。
細っこい主役ふたりの、この年ごろにしか起こりえない物語。
もういちど最初から見たいです。
ルンメイちゃんもさすが。

そして最後、4本目、『ビッグ・ブルー・レイク』。
香港電影評論学会の推薦映画に選ばれた、若手女性監督の作品。
いろいろ新鮮でしたが、これも、香港映画らしい香港映画…って、漠然としてますが、人間に対する見方というのか、人生観というのか、そういうものが地道だけど希望があるところが…よかったです。
今回、私にしては、台湾映画が多く、香港映画はこれ一本でしたが、これが〆でよかった。
新しい香港映画を見られたから。

大阪って、少なくとも東京よりは香港に近い場所(空気というか、気質というか…個人的な印象です)。
「アジアン」映画祭にもぴったりな場所という気がします。
来年こそは、もっといろんな国々の映画を見たり、大阪の土地や人を楽しむ時間も持てるといいなとおもいます。


posted by ゆずきり at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月12日

筲箕灣に、例の場所を確認しにいった。

2月にそそくさと行ってきた香港。
そのときの最重要マストチェックポイントは、

・土瓜湾の白宮冰室
・北角の新光戯院
・筲箕灣の『東京ギャング対香港ギャング』ロケ地
・觀塘の裕民坊

でした。

東京ギャング対香港ギャング

数年前に、トラムの終点まで行ってみたときみつけた、ちょっとすてきなビル。
丸い窓や色分けした壁が気に入って、「すてき建物」として写真をとってました。
結果的に、大好きな『東京ギャング対香港ギャング』のロケ地だとわかってうれしかったので再訪。
中原地図によれば、築52年とか。
(地図の下の方にある、「住宅資料」というのをクリックすると、築年数が出てきます)
映画は1964年公開だから、48年くらい前に撮影したわけで、当時はまだキレイだったのかも。
とはいえ、築52年にしては、手入れがいいのか、けっこうきれいめな気が。
『東京ギャング・・・』で健さんが死ぬところは、どこか高いところから撮ってたようですが、それは、工廠街をはさんだところにある、筲箕灣大厦の上から・・としか、私には思えません。筲箕灣大厦は築55年くらいですが、こちらはずいぶん古びています。

教堂里

筲箕灣大厦は、教堂里という小路をはさんで、ふたつに別れている・・のだと思います。
おんなじような建物ふたつでした。
その名のとおり、2号の建物には教会がはいっているようでしたが・・全体にひと気がない感じ。といって、住居不法侵入して屋上まで行くわけにいかないし。

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「拉」すれば入れたりして。

健さんぐらいしか、ここの場所のロケに行った人は残っていないのじゃないかと思うけど、誰もこの映画のロケのことなんて、健さんにインタビューしないだろうなあ。してほしいけど。



ちょうどお昼どきになったので、「香港路地的裏グルメ」にのっていたお店にごはん食べにいきました。
王林記魚蛋粉」てとこです。
ごくふつうのお店ですが、注文をきくと阿姐がニッコリして「多謝!」っていってくれたし、メニュー多めで、たしか点心もあったような。よく見る、○に「茶」「飽」て書いてある看板もでてたし(てことは、お茶とぽーろうやう、とかもアリなんでしょう)、なかなかよい店でした。

王林記魚蛋粉
自慢の魚蛋入りの米粉と熱奶茶。

魚蛋はもちろん、うす茶色の「てんぷら」(魚片、かな)がとってもおいしかった。
ここはまた来たい店です。
となりのとなりくらいに、爆発的に並んでいる店があったけど、きっとそこよりおいしいと信じる。

ここのお店からトラムの駅方向の、ななめむかいに、天后廟がありました。
ちょっとのぞいたら、旧正月あとだから、ご開帳というのか、天后さんの像を拝むことができました。
これが実に素晴らしく、感激。
まんなかに祀られている大きい像のまえには、みなさんがお供えしたちいさな像や、電気で光る蓮の花がたくさん並べられ、うす暗い廟の中、やさしげな顔の天后さんがぼうっと照らされていました。
脇侍みたいな像の前も同様に、小さい像でいっぱい。
私、こういう素朴な偶像崇拝に弱いです。
お参りしてる方々もあり、写真はとりませんでした。

あとは、青空市を横目に見て・・

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...次なる目的地へ向かいました。
すなわち、觀塘へ。
その話はまた…ええと、次に香港へ行くまでには。




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2012年03月06日

鳴門秘帖




市川雷蔵の、特集上映ではあまりかからない、従って今まで見る機会のなかった、若い頃のオーソドックス時代劇のDVDが出ており、ぽつぽつ買いそろえている。そんな一本。

主役は長谷川一夫、雷蔵は腕自慢の阿波の武士、戌亥竜太郎。
阿波藩の倒幕計画をさぐる隠密法月弦之亟が長谷川一夫。
先に阿波入りして阿波藩にとらえられた男と、その娘を対面させてやる戌亥は、自身は孤児という設定。「実の親子が対面するところを見たいのだ」というセリフ、雷蔵本人の複雑な生まれを思いださせ、話自体は原作ものだけど、雷蔵にあてがきしたのかというような展開。
倒幕計画に自分は参加していないが、幕府から藩が処罰されればたくさんの孤児がでるから、という理由で隠密の密書が江戸へいくのを阻止したい、とも。
なんだかだで首謀者たちは滅びてるので、そういう戌亥の希望をきいてくれる法月。
めでたしめでたしなのだけど、法月を父の敵とねらいついてきていたおよね=山本富士子は、隠密vs阿波藩の争いにまきこまれたあげく、敵討ちもできず死んでいき、不運だったなあ。

さむらいちゃんばらには、腕だめしがしたくてこれはと思う相手につきまとう人、てのががよくでてくるが、今回の雷蔵の戌亥がそういう人だった。
この人の剣には宙返りしたりするのも含まれていて、どの宙返りシーンも遠くから撮ってたのでやっぱり本人じゃないんだろうな・・。
長谷川一夫のメイクをもうちょっとワイルドにしたようなメイクで眉毛も太く、幼馴染のイトコ(巫女さん)に裸の上半身の汗をふかせたりしている。
さらには、先着隠密の娘、お綱(淡島千景)を組み伏せてみたりして(それ以上はしないんだけど)。
でもそういうワイルドな姿なだけじゃなく、上記のような孤児の気持ちの話もあったのが、私的にはよろこばしかった。

長谷川一夫のたちまわりって、やっぱりポーズを決めることを最優先にしてるのかな。
しかしこの映画のときの長谷川一夫、顔も体も丸々していて、まあクールとは言いがたい。
でも人気あったわけで・・若いときからのファン?

幕府を倒す話って、たいてい、幕府側(隠密側)=体制側が主役で、倒幕派が悪者ね。
良平の『間諜』もそうだったな。
そして共に、倒幕を計画しているのは阿波藩。なにかそういう実話があったのだろうか?


+++++++++++++++
監督 衣笠貞之助
出演 市川雷蔵 淡島千景 山本富士子 林成年 滝沢修 長谷川一夫
1957年大映




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