原作の『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は、陰鬱な雰囲気ながら唸るおもしろさで、なんども読んだ・・・・話がよくわからなかったから、というのもあったけど。
とはいえ本を読んでからかなりたっていたので、話の筋は「二重スパイ探し」で、結果あきらかになった二重スパイ=『もぐら』が誰で、ということしかおぼえていなかった。
しかし映画を見始めたら、ジム・プリドーとあの子どもとか、いろいろすぐに思い出せて、原作を実写で反芻する感じでたのしめた。
とくに、ジム・プリドーとリッキー・ターの実存映像がよかったねえ。参謀じゃなくて、しがない現場担当だけど、だからこその命がけの誇り。本をよんでいていまひとつイメージできてなかった登場人物を、映画でみてなっとくする、というのは、越路吹雪さん@『ぼんち』もそうだったが、トム・ハーディー@リッキー・ターもそれだな。
スマイリーのゲイリー・オールドマンは、私のスマイリーイメージが、かなりのよぼよぼ爺さんなため、そのイメージからは精悍すぎる感じだけど、でもだからよくなかったことはまったくなく、やっぱりいちばんこわいのはスマイリーだね、と思えるのでこれはこれでよかった。コントロールのジョン・ハートも合っているけど、スマイリーの方がコントロールより上だね、映画では。
原作でおもしろいのは、ひとくせもふたくせもある登場人物たちの皮肉な物言いと秘密めいた行動、それらを結ぶ道筋が少しずつつけられていくところと、スマイリーのキャラクターだった。
そして原作で理解できなかったのは、諜報活動にものすごい勢いで血道をあげている彼ら全部の「忠誠心」のこと。それぞれの人物の「忠誠心」のありようは、行動やことばによって原作では説明されていたけど、とにかく、そういった「忠誠心」というものが、自分には縁遠いもので・・そして、日本は、こういった諜報活動で勝つことは決してないだろうなあ、ということも思ったものです。
あと、「ソ連」に対する異常な嫌悪感みたいのも、なんつーか、違和感(おもしろい違和感だけど)だったなあ。
小説と映画では、やっぱり、そういった「忠誠心」の不気味さ(不気味だというのは私が思ったことですが)、みたいなものの描き方は違って、というか、小説なら描けることが映画では無理だったり、その逆ということもあって、でも、どちらもそれぞれがすぐれたものであれば、倍+アルファ分たのしめるわけで、この映画は、そういうラッキーなケースだったと思う。
・・といいながら、ですが。
原作も知らないし、冷戦ていうものも知らない若い人なんかがみたら、これ、おもしろいのかなあ?
わりと地味目な話だと思う。
スマイリーとピーター・ギラムが仕事場として選ぶ、リヴァプール駅近くの光景のロケがとってもよかった。
鉄道線路の高架の向こうにドーム型の古い建物の屋根がみえるあの道。
室内の映像が、いつもタバコの煙がたちこめてるみたいに薄暗い感じなのも、この話のイメージにあっていた。
「裏切りのサーカス」公式サイト
こちら旧訳本。家のどこかにあるはず・・
【@映画館の最新記事】












